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新型コロナウイルス感染症拡大による舞台芸術分野への影響について、文化庁長官に要望書を提出しました。

2020/04/16 5:37 に 事務局JaSMAM が投稿   [ 2020/04/16 21:56 に更新しました ]
本日(2020年4月16日)、新型コロナウイルス感染症拡大による舞台芸術分野への影響について、文化庁長官に要望書を提出しました
以下に文面を掲げます。PDF版はこちらご覧いただけます。

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2020年4月16日
文化庁長官
宮田 亮平 様

新型コロナウイルス感染症拡大による舞台芸術分野への影響について

日本音楽芸術マネジメント学会
理事長  中村 孝義

 新型コロナウイルス感染症拡大による舞台芸術分野への影響を鑑み、日本音楽芸術マネジメント学会は、文化庁に対して、以下の3点について、速やかに実施してくださることを要望いたします。

1.舞台芸術関連の諸団体、企業等に対する支援
2.フリーランスの専門的な職能者に対する支援
3.現場の要望を反映した施策の策定


 今冬以来世界を大きな混乱に陥れている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、我が国においても、多くの尊い人命を奪うなど多大な被害をもたらし、医療現場をはじめ社会全体に痛烈な打撃をあたえ続けています。
 当学会が研究対象とする文化芸術分野においても、事情は極めて深刻であります。TOKYO 2020のオリンピック・パラリンピックの盛り上がりとともに、華やかに展開されてきた「日本博」をはじめとする諸々の文化プログラムを含め、着実に歩みを進めてきた我が国の文化芸術活動は、今や突然冷水を浴びせられたように萎縮している状況にあり、「不要不急」という文化芸術に対して全く的外れな言葉を耳にするたびに、関係者はいつにもまして残念な思いにとらわれる昨今であります。
 改めて申すまでもなく、「文化芸術基本法」に明記されているとおり、文化芸術は「心豊かな活力ある社会の形成」にとって不可欠の社会インフラであり、特にかかる困難な社会情勢のもとでは、人々を勇気づけ、将来への活力を育む強い心の支えとなるものであります。この過酷な状況は必ず克服されることと信じておりますが、現時点でも既に極めて困難な状況に陥っている文化芸術活動が、かりにこの状況がこれ以上長期化した場合に受ける被害の甚大さは想像を絶するものがあります。
 文化も芸術も人間のたゆまぬ努力の結晶であり、同時に一人一人の従事者の切実な生業(なりわい)そのものでもあります。「文化芸術活動を行う者」(同法)の生活が成り立たなくなるということは、即ち「文化芸術活動」そのものが死滅することでもあります。本学会は、この由々しき現状に鑑み、今回の異常事態によってかりにも我が国の誇るべき文化芸術がこれ以上甚大な被害を受けることがないこと、特にその基盤となり直接その活動を支えている団体及び個人の生活と活力を確保していくことが緊急の社会課題と認識しています。
 このような観点から、本学会は、文化芸術の中でも特に関心を持って見守っている音楽をはじめとする舞台芸術(実演芸術)分野の現状に対して、以下のような強い危機感を抱いており、これまで国として発表された緊急経済対策に加え、さらに実効性の高い強力な支援策を早急に講じていただくことを強く要望するものであります。

1.舞台芸術関連の諸団体、企業等に対する支援
 舞台芸術は、その性質上、密閉・密集・密接という感染症にとって望ましくない条件が揃う場において上演されるものであるため、現在もほとんどの公演等の催しが自粛の道を選ばざるを得なくなっています。また舞台芸術は、映像等の媒体を用いた活用方法も開発されているものの、実演家が観客や参加者と同一の空間と時間を共有するところにその本来の魅力がある芸術であるため、無観客での上演はあくまでも一時的な代替措置に止まらざるを得ません。
 現在のように上演が困難な状況が続きますと、公演等の事業によってチケット収入を得ている団体や企業が経営的に極めて厳しい状況に追い込まれていくことは明白です。特に楽団・劇団・舞踊団等の芸術団体、劇場・ホール・演芸場・スタジオ等の文化施設、音楽事務所・芸能事務所等のマネジメント事業者、ライブハウス・クラブ等のエンタテインメント系事業者、アートNPO等は、そのほとんどが事業規模も極めて小さく、早くもその多くが存続の危機に立たされつつあります。
 また、上記のような公演実施団体・施設等から個々の業務を受注している舞台技術・舞台美術関連の企業も事情は全く同様であり、ひとつの公演が自粛となることだけでも既に大きな経済的損失を被っています。これら音響・照明・舞台美術(装置)、衣裳、小道具、かつら等の業務を請け負っている専門的な職能を備えた企業の多くは、今や存続も危惧されるところであります。
国として、舞台芸術関連の諸団体、企業等が安定して活動を継続しうるよう、行財政上の有効な支援策を緊急に講じていただけるよう切望いたします。加えて、団体・施設などに対する補助金・基金などの助成金の支給に関しましても、柔軟かつ大胆な発想で、公演の中止・延期などに対応していただけるよう要望いたします。

2.フリーランスの専門的な職能者に対する支援
 舞台芸術関連の事業は、多くの場合、特定の団体・企業等と直接的な雇用関係を有していないフリーランスの専門的な職能者によって支えられています。音楽家、俳優、舞踊家、演芸家、演出家、舞台美術家、舞台技術者、制作者などがこれにあたりますが、彼らは、公演等の事業ごとに業務を請け負い、そのプロフェッショナルな職能を提供することによって報酬を得ている独立事業者であります。元来がフリーランスであるが故に、収入は一定とは言えず、社会保障の面においても不安定な立場にある就業者でありますが、公演活動自粛の波をまともに受けて、現在とりわけ深刻な生活の危機に直面しています。
 舞台芸術の分野において、各職域のフリーランスが果たしている役割は、前述の団体や企業と同様、あるいはそれ以上に重要なものがあることは言うまでもありません。彼らフリーランスの舞台芸術関係者が、この危機を乗り越えることができ、これまでにも増してその高水準の芸術や技術を提供することができるよう、個人に対する持続的な行財政上の支援策を緊急に講じていただけるよう切望いたします。

3.現場の要望を反映した施策の策定
 感染症対策としての公演自粛の要請それ自体に対しては、文化芸術関係者も含めて多くの国民の理解できるところとは思いますが、自粛が間違っても文化芸術の崩壊や消滅をもたらすものとなってはなりません。文化芸術は国民全体が共有する貴重な社会資産であり、それは一度失われたら容易に取り戻すことのできないものであります。
 思いがけず降りかかったこの文化全体の危機に際し、文化庁には感染症への総合的対策の重要な一環として、この際全力を挙げて取り組んでいただくことを切望します。また、施策の策定にあたっては、必ず関連各業界の幅広い現場の声に耳を傾けてくださるようお願いいたします。既に触れたとおり舞台芸術関係の多くの現場が悲鳴をあげております。真に現場が求めていることがらを的確に把握し、抜本的な支援策を早急に立案、実施してくださるよう切望いたします。
以上

【問合せ先】             
日本音楽芸術マネジメント学会 事務局
(以下略)
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事務局JaSMAM,
2020/04/16 5:37
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